不安な時期を乗り越えて、子育てと地域づくりに込める想い

古室あづさ さん
とりの森デンタルケア 院長
子育て世代が通いやすい歯科医院づくりに注力。「歯科医院の敷居を下げて楽しいイメージを持ってほしい」と、子育て支援や地域住民に開かれたマルシェも定期開催する同院。⼝から始まる健康づくり、QOLの向上を⽬指すことを決意し、「とりの森デンタルケア」として予防中⼼型、情報発信型⻭科医院にリニューアルいたしました。”⻭科疾患の再発防⽌や予防を、⻭科スタッフと患者様とが協⼒して⻑期にわたって⾏う「まちの健⼝ステーション」を目指してまいります。
今回のむすぶトークは、太田市にある「とりの森デンタルケア」の古室あづさ先生とお送りします。歯科治療、予防歯科の他に「健口ステーション」として、ナチュラルマルシェや子育てに関するお話会など、子育て世代にとってもありがたいイベントを多くされています。そんな、あづさ先生の子育ての話に迫っていきたいと思います。
先生の妊娠や出産、育児を通じて感じた不安などあれば教えてください。
私は最初の子の妊娠中に宇都宮に住み始めましたが、妊娠9ヶ月まで埼玉の歯科医院に通勤していたので、友達も居ませんでした。
また、両親は遠方で行き来することはありませんでした。ですので、とにかく子供が生まれてから一歳になるまでの1年は、とにかく不安だらけの毎日でした。
そうした不安だらけの毎日少し変わった転機はどのようなものだったのですか?
6ヶ月健診で知り合ったママ友が4人ほどでき、そこでの情報共有は本当に有り難かったですね。
たまたま健診で知り合えた友達が出来て良かったですが、それが無ければ病んでしまっていたかも知れません。
特に初めての育児だとママ友の存在って大きいですよね。勝手に、あづさ先生のことをバリキャリって思っていたので“病むほど”っていうのが意外でした(笑)
特に私の中で今も後悔してるエピソードとしては、 生後1ヵ月ほどの長男が咳が続いていたのに、しばらく様子を見てしまったんです。
当時、生後2ヵ月くらいまでは通常は風邪を引かない、と何かの本で見ていた気がします。
母体からの免疫がありますからね。
風邪などの感染症にかかりにくいと一般的にいわれていますしね。
私も“すぐ病院”って感覚ではないので、先生の気持ちわかります。
それに、生後1か月の子を病気の子が多い病院に連れて行く方がリスクがある気がする、というのもあり、2.3日様子を見ていました。
でもだんだん咳が酷くなってきたので、念のため、と思って小児科を受診しました。
当時はインターネットもなかったので、先ず小児科がどこにあるのかも分からず、電話帳か何かで調べて近くの小児科にタクシー呼んで、まだ首も座ってない息子を小児科に連れて行きました。その時はまだ呑気に、 念のため行っとくか…くらいの気持ちで。
行ったら、「何でもっと早く連れて来なかったの!」と先生に怒られました。
まだ1か月で感染があったら、すぐに重症化するよ!と。
そんなエピソードがあったのですね。
受診のタイミングは医療従事者でも難しいってことですかね。
私も怒られていたパターンですね。
ホストマザー的な考え方は、 先ずは、地域全体で子育てしましょう、という風土が出来上がってからになると思います。
先ずは、子供は地域の宝物、皆んなで育てて見守ろう、という風土を作ることからです。
だから先生は、地域全体での子育てに力を入れられているのですね。
こども主役型のマルシェとか運動教室、子育て相談とか。
特に子育ての悩みで多いのが、言葉の遅れとか、偏食とか、吃音とか・・・これは助産師でも分からない問題が山積みなんだなと思っていたころに、あづさ先生と出会えて奇跡です。
野口さんの活動や、とりの森で開催している子育てサークルなども そういった目的で行っているわけです。
草の根的な活動であっても、色々な場所で、同じ事をする人が増えれば、だんだん社会の構造が変わっていくと信じています。
あそこ(とりの森デンタルケア)に行けば、何とかなる!明るい気持ちになって帰れる!って思える場所ですよね。内装もかわいくて、落ち着けて、何より働く皆さん、子育て世代多いですよね。
“私の時もそうだったよ”“大丈夫だよ”って、味方や仲間がいる感覚って孤独な子育てにどんなに大事かって思います。
私は、この地域で保護司という役職をいただいているのですが、保護司の活動は、犯罪者が再犯をしないよう寄り添い見守るという事と、 地域に犯罪が起きないよう、または犯罪者を地域から生まないよう、健全な地域社会の実現を目指す事です。
保護司もされているのですね。
NPOきびるは、虐待やネグレクトを失くし、母子が健やかに暮らしていく日々に寄与する目的で設立していますので、とても興味深いです。
その度に感じるのは、やはり地域の方々がちゃんと子供に関心を持ってくれている所は、犯罪率も低いし、再犯も少ないのです。
これは大人であっても子供であっても、です。
地域のおじさんおばさんが地域の子供に与えた愛情の有無が、将来的にはブーメランのように地域に帰って来るのです。
因果応報ってやつです。 そういった事から考えても、やっぱり、子供は地域の宝物、であり、だからこそ、地域で子育てを応援する必要があるのです。
あづさ先生のお話から、地域全体で子育てに取り組む意味や使命なども改めて考えさせられました。またそれを実践されているあづさ先生の芯の強さと想いに触れることができました。これからもよろしくお願いします。ありがとうございました。