子どもと母親に寄り添う人との対談・インタビュー

女性のキャリアとライフステージ

山中 泰子 さん

株式会社QOOLキャリア代表取締役社長
大学卒業後、ピラティスのインストラクターとして活動。
結婚を機にキャリアチェンジ。大手IT系人材サービス企業にて人事を担当する中で、採用・育成・制度設計などを経験。また、ひとり親家庭の就業支援事業を自治体とともに立ち上げ、保育施設を併設した就業施設の開設・運営に携わる。
その後、上場会社の人事担当執行役員やスタートアップ企業の人事責任者、IPOを経験し、2022年4月QOOLキャリア代表取締役に就任。キャリアアドバイザーとして、仕事と育児の両立に悩む女性のキャリア支援を行う。プライベートでは1児の母。

【QOOLキャリアとは】
「自身のキャリアをより確実に、安心して、自分らしく彩るワークスタイルコーディネーター」としてワーク・ライフ・シナジーを追求し、キャリアアップも収入も子育ても諦めない、そんな女性を応援している会社です。
公式】ワーママの時短転職ならQOOLキャリア(qo-ol.jp)

 

今回のNPOきびる「むすぶトーク」では、QOOLキャリアの代表取締役社長山中さんとの対談です。
現在では代表取締役社長として活躍されている山中さんですが、ライフステージにおいて様々なチェンジやターニングポイントがあったと思います。その辺りを今回はじっくり聞かせていただきたいと思います。

キャリアのきっかけなのですが、そろそろ子供欲しいなっていう時ってだいたい女性の場合キャリアも働き盛りですよね。ちょうど20代後半から30代になるぐらいにはやっぱり子供欲しいなって思っていても、「執行役員にならないか?」ってチャンスが来た時に「妊活したいです」とその時の上司というか社長に言ったら、「妊娠しても8ヶ月あるから大丈夫だよ」と言われて(笑)。
当時からすると新しいというか、そんなこと言ってくれるのだってすごくびっくりしました。理解がある会社でしたよね。でもなかなか授からなくて、結局いろんなステップを踏んで不妊治療を続けました。
結果、授かりましたけど、病院に通って毎回3万、4万を支払う日々で体力的にも精神的にも金銭的にも仕事面でもすごく大変でした。トラウマですねもう。病院婦人科行くと嫌な思い出しかない、行きたくないというのが本音というくらいしんどかったですね。でも、それができたのは当時が自分は管理職で時間にとらわれないお給料体系だったので、後から思ったら管理職の立場だったのはメリットですね。それがもし、1メンバーとして誰かにお伺いを立てなきゃいけない立場だったら、現実問題、多分続けるのは難しかっただろうなって思います。
今のように保険診療もなかったのですし。収入に応じて少し補助が出るっていう感じなので、お金の面も心配だし、それに体力面とかいつまで続くのかが分からない中で仕事するのもすごいストレスでしたね。

順風満帆なキャリアと思っていましたが、助産師目線で聞いていても、なかなかフルコースの不妊治療ですし、大変だったのだなというのが本音です。でも、かえって管理職だったから時間の融通が少しはきいたなどプラスに捉えていらっしゃるところもすごいなと感じました。
妊娠、出産しても続けることが当たり前の職場でしたか?

当時産んだらもう役職を降りるって当たり前な感じでした。続ける続けない選択というか、とりあえず休み入ったらもうその役職から降りる。すると、すぐに男性の方がポジションに入って私は育休から戻ったら1メンバーとして働き始めるっていうのが当たり前の感覚でした。私も休ませてもらってすみませんみたいな感じで休みに入るので。そんな感じで復帰しても面白くないのですよね。ですので、スタートアップに転職して人事の立ち上げから上場まで走るのですが、子供が小さいしワンオペなのでそれはそれできつかったですよね。保育園が終わる時間に子供をピックアップして、その後また会社に行ってお弁当を食べさせながら会社で仕事をしているみたいな日々が結構続いて、それはそれできつかったですけど頼る人がいないとそうするしかないですよね。でも、子供が小学校に上がる前のタイミングで、もうこのままじゃちょっと働くことと子育てとの両立難しいなということで、働き方をフリーランスに変えるという選択でパラレルワーカーという形をとりました。収入も上げたいしキャリアも上げたいし、でも仕事も家庭も両立したいしみたいな。かなり自分を追い込んだ日々を過ごしていましたが多分、子供が体力的に結構強いタイプであんまり風邪とかひかなかったのが救いでしたね。そんな中、いわゆる「小3の壁」で学童に入れなくなって。でもそのタイミングで、クールキャリアの代表の役割にタイミングよく着いたっていう感じで今に至ります。なんかたくましいすごい周りから見たら映るのですけども、別にたくましいとか特別な感覚は全然なくて、自分なりにその都度、最善策を選択してきた結果こうだっただけなって思っています。

そのような体験って仕事に活かせていたりしますか?

子供を持つということって当たり前じゃないよってまず思います。子宮内膜症とかもいろんな病気もあって、流産したことも言わない人も結構います。高齢出産も多いので、妊娠しても2、3カ月して流れちゃったみたいなこともあるので安定期に入るまで妊娠したことを言えない人もいますよね。「なにかあったら言ってね」というしかないけど、やっぱり相談してくれると、会社の仕組みがどう使えるかみたいなところはフォローしてあげられるのでそういうところは相談に乗ってあげます。
もともとクールキャリアで私がやりたかったことは本当にその求職者さんに寄り添うってことなのです。今まで人事の立場って組織と従業員さんとの間の立場だったのですが、その頃の私の立場は、経営者のパートナーとしてのジャッジメントが頭の半分はあったんですよね。なので従業員の人と会話していても、会社の中での最適なバランスをどうしても取りに行く、そんな考え方でお仕事をしていましたね。会社として組織がどうこうよくなっていくか事業がうまくいくかみたいな。

女性の活躍とかキャリアとか以前より叫ばれていると思いますが現状どう感じますか?

女性特にママを積極的に採用したい会社さんが無いというのが現状です。
それに、キャリアを積む機会がなかったりとか、今までそういった機会に恵まれてない人に対してキャリアチェンジやキャリアのステップを踏む機会が必要だと思います。機会に恵まれなかった人がそこでストップみたいな感じにならないようにする必要があると思います。給与もまだまだ格差は大きいですし。

働きやすさって、福利厚生の手厚さとか給与面とかいろいろあると思いますが、キャリアが途中で止まらないというか、あきらめたり手放したりしなくていいのがいいですよね。私も切迫早産で2人とも入院したりしていたので、できないことが多いというか、あきらめなければならないことが多すぎることは3人目なんてまず考えられなかったです。
今「リスキリング」っていう言葉もよく聞かれますよね?育児休暇中に、学び直し?みたいな、ある一定数の方は「なんてこといってんだ」とかなり反発しておられますが、プラスにとらえることもできるなって思うのですけどね。

今やっているキャリアの延長線上にあることを勉強するのもいいですし、全く新しいことを学ぶことでもいいですし。自分の生活の質をよくしたり、価値観を広げることにもなる。以前のように、勉強するってすごいお金がかかるとか時間がかかるって時代ではなくなったじゃないですか。数千円で気軽に参加したい、勉強したいとことにつながる。もちろん、いろんな環境があるので一概に言えないですけどね、子育て中だからこそできることもあるみたいな。リスキリングの機会って、味方を作る機会になるのですよね。自分の状況をわかってくれる人がいる育児って少ないじゃないですか。実はそういうことをシェアする機会にもなる同じ境遇の人と出会えるとか。そういう人と出会えるって言うだけでもすごいパワーになるのですよね。

なぞにリスキリングが叩かれているなと思っていたので私と同じ価値観というかもう所が一緒で安心しました。
男女平等とうたうのだったら、本当の意味での平等を獲得するのであれば、わたしもキャリアについては自分自身でもどん欲に欲していくことが必要だといつも思っています。
男性は「一家の大黒柱だ」と言われますが、それってなかなかしんどいことなのだろうなと私は思います。

自分の人生だから、どうやって稼いで自分らしく生き生きしていくかみたいな選択肢って男性と同じじゃなきゃいけないかなって。ある程度キャリアのことも考えて自分で稼いで自分で好きなようお金使っていくこともできる世の中になっていかないといけないと思います。
バリキャリとか言われますが、なにか特別何かをやってきているとかっていうことではないと思います。その時その時の最善策を選択して言った感じです。

キャリアと育児のバランスを取ることは、困難なこともあると思います。私の個人的な感想ですが、支援的な職場の重要性と、家族の理解と協力が欠かせないことが分かりました。また、一つの解決策があるわけではなく、自分に合った仕事と生活のバランスを見つけることが重要であることを学びました。女性がますます職場に進出する中、出産後の女性のキャリア継続やキャリアチェンジの現状を山中社長の長年の企業人事、就業支援の経験からお聞きし、会社の制度や風土作りの重要性を認識しました。
山中社長は他にも、昨年10月に女性活躍、男性育休取得を推進するライフステージ特化型の福利厚生サービスの提供をスタートしました。【TUMUGU:https://tumugu-service.jp/ 】こちらもご参考にしてください。