子どもと母親に寄り添う人との対談・インタビュー

コロナ禍で感じた「立ち合い分娩の意味」「産後クライシス」

長橋 圭子 さん

助産師として周産期医療に従事しています。産前産後のお母さんだけでなく女性のライフサイクルにあったより良いサポートをするために日々精進しています。
2016年の熊本地震の際にはD-MATとして被災地に赴きました。また、私生活では3人の男の子の子育てました。ハプニングだらけの楽しい生活を送っています。

助産師になったいきさつ

看護師になるのも、ましてや助産師になるのも考えていなかった。
でも代々助産師家系だった。
二つの命に関われるのは助産師ならではだと思う。
看護師は「医師の指示のもと」であるが、助産師は正常なお産であれば主体的に動くことができる。
なるべく医療介入がないようにナチュラルに生ませてあげたいと思う。
そして助産師の一番の喜びはやっぱり出産の瞬間。
生んだ瞬間、妊婦から「母の顔」になる。
生れた瞬間、胎児から「赤ちゃん」になる。
その瞬間に立ち会えるのは助産師ならではだと思う。

コロナ禍で現役助産師として感じたこと

新型コロナウイルス陽性妊婦さんは帝王切開になりますね。
入院する前から一人、入院しても一人、不安なまま出産して、私たちも色々考えさせられました。
立ち合い分娩を希望されていたのに今回コロナ禍の影響で全くできなくなりました。
妊娠中から出産のときの旦那さんの関りって、今後の育児や夫婦関係にとても影響を与えると思うんですよね、産後クライシスというか‥お母さんは十月十日おなかの中で絆をはぐくみますが、お父さんは生まれてから築くわけだから、なるべく、お二人が希望されるプランにしたいというのが助産師ですが今回コロナ禍で色々が変わってしまいました。

●産後クライシス(参照:産後クライシスの症状や原因とは?対処法についても解説 | リーガライフラボ (adire.jp))
https://www.adire.jp/lega-life-lab/postpartum-crisis325/

助産師としてかかわる期間は短いと思うのですが、不安や心配を抱えて退院される方に思うこと

不妊治療とか高齢・若年出産や、望まない妊娠など、いろんな情報が入りすぎて、赤ちゃんの成長そのものを楽しめない人が多いと思います。
助産師として病院で関わる中で、産後5日目で通常退院されますが、身体も心も一番しんどいのって3~5日目なんですよね。
その中で退院を迎える方を見送ってきて、中には不安や心配を多く抱えて退院される方たちもいらっしゃいます。
なので私は地域に出てお母さんたちをサポートしたい、支えたい、そんな気持ちが大きくなりました。「産後ケア」を通して、温かいご飯を作ったり、赤ちゃんの体重増加を見守ったり、育児支援をしたりして、みんなで子育てができるそんな世の中を目指したいです。